Φ はじめに
シニフィアン研究所の 迎意 愛(むかいあい)です。
精神分析と言う「対話療法」で、精神分析家(インテグレーター)として
様々な悩み・苦しみを抱えた方々と共に、解決の道を歩んでいます。
その中でも、子どもの問題、家族・夫婦の問題などの話を聞いてゆくと
すべての問題は「母」に通じると痛感します。
「人間の精神の基盤は母が作る」
「母になる決意と覚悟を持って、母になる必要がある」
このように言わざるを得ない事象に直面します。
例えば
不登校や引きこもり、家庭内暴力や非行、リストカット、DVや虐待、
拒食・過食、うつや自殺、暴行なども
母を始めとする周りへのメッセージだと考えられます。
自分でも分からない衝動に翻弄され、
暴れることで訴え、発散している姿だと言えるでしょう。
「誰かに俺のことを分かって欲しい!」
「誰かに気付いて欲しい!」
このように
母なる存在に向かって叫んでいるのです。
かつて、自分の世界そのものであった「母」に向かって
「ママ、抱っこして」
「ママ、オッパイちょうだい」
と叫んでいたように!
これらの叫びが、
人の精神の根底に地下水のように流れています。
これらの「叫び」に耳を傾け、何を求めているのかを知り、
敏速に適確に行動する為の『知』を持っていることが必須です。
これらの『知』を持った母であること=『賢明な女である』
その為には自分を知ることが必要です。
自分を知るということは、母を知ることにどこかで繋がっている。
胎児であった頃、母の胎内でへその緒によって繋がっていたように!
母を知ることは、決して母を責めることでもなく、
過去に立ち返って母に文句を言うことでもありません。
母もまた、その母によって精神の基盤を作られたのですから。
母を通して何を受け継いだかを知ることです。
そして、
どうしてこんなにも『母』なのでしょう?
年齢に関係なく、なぜ『お母さん』と叫ぶのでしょう?
どうして、精神の基盤は母が作ると言えるのでしょうか?
なぜ、母になる決意と覚悟が必要なのでしょうか?
これらを考えてみたいと思います。
☆ 「精神分析的子育て法『母への叫び』」も参照してください。
きっと、子どもの(自分自身の)叫び声が聴こえてくることでしょう。
1)Φ 賢明な女とは?
『すべての人は母から生まれる』
それに加えて、人間の子どもは他の動物と比べて超未熟で生まれます。
世話をしてくれる人が居なければ、生命を維持する事もできない存在です。
これを『寄る辺無き存在』と言います。
ある一定の期間、どうしても適切な世話をしてくれる
「母なる他者」を必要とします。
泣き声一つで、「おっぱい」か「おむつ」か「眠い」のかを判断し
適切に行動してくれる他者が必須です。
言語は理解できませんが、
皮膚感覚を通して、赤ちゃんに刻印され続けます。
ですから、世話してくれる他者の存在の影響が多大となります。
その他者は「母」その人が一番適任だと言えるでしょう。
母は「安全」と「安心」を与えてくれる存在です。
それゆえに、母が「欲望の対象=愛の対象」となります。
ここで大切なことは『母が赤ちゃんを欲望する』ことです。
赤ちゃんがどんなに母を欲望しても、母が欲望しなかったなら
やがて、赤ちゃんは欲望すること自体を断念することでしょう。
このような赤ちゃんは後に、
自分は欲望されていない=どうでもよい存在=生きている意味がない
と、自らの心身に刻印付けるだろうと考えられます。
母が欲望してくれることを欲望するとは
赤ちゃんが母の欲望の対象となること
つまり、母の眼差しの中に赤ちゃんの眼差しが映っていること
これを『眼差しの交換』と呼びます。
言うまでもなく、この眼差しも悪意であってはならず、
「あなたはママの愛の対象よ」
との、温かい眼差しであることが要求されます。
お互いが鏡となる関係
母がニコニコしていると、赤ちゃんはニコニコしていると認識します。
可愛いいねとの表情をすると、赤ちゃんは可愛いというメッセージを受け取ります。
この限りない往復運動の中で、
「自分は母の欲望の対象である=母に愛されている=生きる意味がある」
との世界をドンドン広げて、成長してゆくのです。
子どもにとって「母」は基盤であり、すべてであり、
世界であり、欲望の対象なのです。
それだからこそ
母は、常に側にいて、赤ちゃんのメッセージを受け止め
的確に、敏速に、行動で答えることです。
これを「母性行動」と言い、それが母の役目です。
これらを引き受ける覚悟と決意をもって母になることが
赤ちゃんにとって、いかに重要であるかが理解できるでしょう。
以上の観点から「母になる」or「母にならない」は重要な選択であると言えます。
これらの【智恵】を持ち、それを実践する覚悟を持っている女性を
【賢明な女である】と規定します。
では、具体的にどのような覚悟を持って行動すればよいのでしょうか?
それをこれから共に考えていきましょう。
2)Φ 「結婚」ー賢明な男性選択
まず、「結婚」ということから考えてみましょう。
結婚とは、男女相互の愛情と社会的契約と言えます。
この二つが整っていることが必要となります。
例えば
「できちゃった婚」「仕方なく」「成り行きで」「年だから」「周りがうるさいから」
「寂しかったから」などの理由での結婚は、将来必ず、
「どうしてこの人と結婚したのだろうか?」と問いかけなおす事象に出会うでしょう。
これを「結婚動機」と呼びます。
ほとんど全ての夫婦が一度はこの「結婚動機」に立ち戻るのです。
そして、その「結婚動機」曖昧で軟弱だった場合、
「離婚」する確立が高いと言えます。
夫婦二人だけの場合は、離婚も割合スムーズに進めやすいでしょう。
しかし、子どもが居た場合、
そのしわ寄せが子どもに表現されることは、ほぼ間違いないと言えます。
このことについてはこちらを参照してください。
結婚という選択には
自分固有の意味づけと決意が必要だと言えるでしょう。
離婚の是非はともあれ、離婚を前提での「結婚」はしないでしょうから。
では、
賢明な男性選択とはどういうことでしょう?
一言で言えば【父性を持った男性を選ぶ】です。
父性を持った男性とは?
(1)言語化できる男性=理知的であること
自分の考えや思いを言語で語れることです。腕力や感情で伝えようとするのではないということです。
決して難しい言葉や考えを言うことではありません。
相手が理解し、なるほどと納得できる対話ができること。
「俺について来い!」とだけしか言わないのは、言語化できるとは言いません。
(2)主導権、自律性を持ち、統率力、指導力があり、現実吟味能力があること
皆の意見をまとめ上げ、どのようにすれば良いかを示せることです。
そして、その内容が現実をしっかり見据え、的確であるかどうかが問題です。
(3)言語化したことを実現する努力をしていること
言うことは立派だけど、自分ではまったく努力しようとせず、
現実離れしていてはダメです。
これらを兼ね備えている男性を「父性を持った男性」と呼びます。
このように書くと、なかなか難しいかもしれません。
もっと分かりやすい具体例をあげましょう。
避けた方が良い男性
(1)語らない男性(常におとなしく、無口で、語るべきときに語れない男性)
(2)すぐ感情的になる男性(感情爆発傾向がある)
(3)言語化よりも行動化する男性(言うよりやった方が早い)
(4)アルコールやタバコ、ギャンブル、寝ることが何よりも大好きな男性
(5)マザコン男性
(6)親元を一度も離れて暮らしたことがない男性
もちろん
父性を持った男性といえども、生身の人間です。
甘えたいときも、癒されたいとき、感情的になるときもあるはず。
そんな時には、素直に甘えられ、癒しを求め、
感情を適切な方法で開放することができることも大切な一つです。
このような男性であるかどうか?
を見極められる女性であることが求められます。
このように考えてみると、
父性を持った男性を選ぶには
女性も同様に「父性とは?母性とは?」を理解している必要があります。
男性を見る目を養うには
ソレ相応の知性を持っていることが求められます。
これを持ってこそ
『賢明な女性』と言えるでしょう。
賢明な女性が賢明な男性を見出すことが可能となるのです。
父性を持った男性と、母性を持った女性が出会い
愛し合い、結婚したなら、
個別性を持った一人の人間として、異性として
お互いを尊重し、理解し、共に成長し合える夫婦関係を築けることでしょう。
3)Φ 妊娠・出産は選択するもの―母となる喜び
「妊娠」と「出産」「育児」は繋がった一連のものです。
当然の事柄です。
あえてこのように書くのは、理由があります。
それは
あまりにも「無知」なままでの「妊娠・出産」が多いからです。
「できちゃった」がその例です。
妊娠・出産・育児は夫婦が共に望んだ結果であるのが理想です。
決して、たまたまできるものでも、して当たり前のものでも
周りから求められてするものでもありません。
これについては、ブログでも書いていますので、
そちらを参照ください。
父性を持った(何であるかを知っている)男性と、
母性を持った(何であるかを知っている)女性が結婚し
約3年の重要な新婚期を経た後に
いよいよ次の課題『妊娠』について考える時期がきます。
この時、一番大切なことは
夫婦二人の気持ちが「妊娠・出産」に向かって整っていること。
つまり、『二人の子どもが欲しい』と切望していること。
次に
そのための環境が整っていること。
その環境とは
1)経済的に安定していること
母が専業で子どもを育てることに経済的不安がないこと
2)空間的に整っていること
育児をするために十分な空間があること
嫁姑の距離が適度であること
3)精神的に安定していること
妊娠・出産・育児に対する知識と待ち望む気持ちを持っていること
以上の3つが整えられた時
妊娠への環境が整ったと言えます。
逆に言えば
夫婦のどちらかが、子どもを欲しいと思わなかった場合
上記の環境が整っていない場合
「妊娠」するに望ましい環境ではないと言えます。
特に
女性が「母になる覚悟」を持っているかどうかが
何よりも重要です。
なぜなら、妊娠・出産はもとより、育児は母の大切な仕事であり、役目だからです。
育児は大変エネルギーが要りますし、
何よりも、母自身の秘めた葛藤が反映されます。
頭でどんなに理解していても、
自らの両親との葛藤(コンプレックス)を意識化しておかないと
育児の場面で、必ずと言っていいほど現れてきます。
つまり
母自身が、妊娠するまでに
自らの葛藤を可能な限り意識化(言語化)しておく必要があります。
その方法の一つとして【精神分析】をオススメします。
詳細についてはこちらを参照ください。
キャリアウーマンとして
社会の中で自らのスキルを生かし、生きがいを求めたいと考えている場合
「母になる」選択肢を放棄することも
一つの賢明な判断だと言えるでしょう。
なぜなら
「母」と「キャリアウーマン」とは両立できないからです。
どうしてかは【精神分析的子育て法】を参照くだされば理解できるでしょう。
「母になる」「母にならない」の選択権は
女性自身が握っています。
結婚したら「母になる」のが当たり前ではなく
たまたま、そのような行為の結果「母になった」のではなく
女性が「母になる覚悟を持ち、男性の協力を得てなるもの」なのです。
つまり
「母になることを引き受ける」のです。
精神分析によって、自らの両親との葛藤(コンプレックス)を
可能な限り意識化し、
自ら「母になる」ことを引き受ける覚悟をして
「母になる」のです。
育児はそれほどの覚悟を必要とするとも言えるのです。
このようにして母になったなら
胎教も含め、産まれてくるわが子を欲望し
母となる喜びを持ち、
わが子を「可愛い」と感じ、育児を夫と共に楽しめ
赤ちゃんに暖かい眼差しとスキンシップを与えることができるでしょう。
一方夫は、その妻子の姿を見て、
父となった喜びと暖かい眼差しで見つめ
自ら妻子を守る決意と責任を引き受けることでしょう。
このような中で、産まれ、育つ子どもは
健康でスクスクと成長することが予測できます。
4)Φ 『専業母』のススメ―母として生きる喜び
妊娠・出産をし
いよいよ「母」となります。
身体的にも一体化していた状態から分離し、
いわゆる「二つ身」となります。
ここからが、育児のスタートです。
人が身体的にも、精神的にもスクスク成長するためには
「母なる存在(養育者)」が絶対必須です。
なぜなら
乳幼児は、自らの命さえも自ら維持する事ができない
『寄る辺なき存在』だからです。
寄る辺なき存在の乳幼児が
言語の世界へと参入し、理解し、自由に遣えるようになる学童期までは
母が側にいて、片時も離れることなく
【敏速で適切な世話をする】ことが必要です。
【敏速で適切な世話】とは
要求が出たら、すぐに、言われたことだけを行動で答え、
【オールOKで育てる】ということです。
それに加えてもう一つ大切な要素があります。
その適切な世話行動をする前提に
【子どもを欲望する母】が必須です。
【欲望する母】
【母を欲望する子ども】
【母の欲望を欲望する子ども】
この三つの欲望が子どもの心を成長へと導きます。
この【母の欲望】がないと
子どもは生きる意味を見出せなくなるのです。
この環境を整えるという意味において
『専業母』が必要と言わざるを得ないのです。
ですから
『母とキャリアウーマンは両立できない』と言うのです。
母以外の人や、複数の人が世話する環境
あるいは、放置(育児放棄、遺棄)などは
体は成長しても、精神はある地点に留まったままとなります。
それをフロイトは『固着』と言いました。
世話行動を十分に受けられれなかったら
年齢とは関係なく、精神は固着点に留まったままなのです。
つまり
体は大人なのに、行動や思考は乳児や幼児のままだということです。
アダルトチルドレン(AC)永遠の少年少女、空想世界の人などと呼ばれます。
また、その精神年齢に応じた場所の病理や行動で表現されます。
とまれ
人の『精神の基盤は母が作る』といっても過言ではないのです。
そのためにもある一定の期間『専業母』が必須と言うのです。
では
ある一定の期間とは?
それは、「一番年少の子どもが小学校へ入学するまで」と言えるでしょう。
これらを踏まえて
夫婦で相談しながら産む時期、性別を決めることが大切です。
詳しい内容については
『精神分析的子育て法』『迎意 愛のブログ』を参照ください。
5)Φ 生きがい―社会の中での「女」
これまでは「母になる」を選択した女性を中心に書きましたが、
ここからは「母にならない」を選択した女性のことを書きましょう。
「母にならない」を選択することも
「母になる」を選択することと同様に、大なる決意を必要とします。
『結婚したら子どもができるのは当たり前』
このような暗黙の風潮がまだまだ根深くあるであろう日本では
「母にならない」を選択することは
非常な勇気と決意と覚悟を必要とするでしょう。
母になりたくないから母にならない
とても母にはなれないから母にならない
母としてよりも、一人の人間、女として生きたいetc
これらの決断は「賢明な決断」だと言えるでしょう。
母になる=子どもを育てる
これは表裏一体で、分離不可能であり、してはいけないものであることは
これまで書いてきた内容から明らかだからです。
では家庭の中から外(社会)へ出て働く女性を考えてみましょう。
社会の中に生きがいを見い出し、
男性と競い合ってキャリアウーマンとして働く女性に対して、
『男女共同参画社会の実現』とのスローガンを掲げるなど
社会も後押しするようになってきています。
社会に役立つ製品や商品、作品、アイデアなどを直接産み出したり、
あるいは、何らかの形で関わったり、
また、部下を持ち、育てることなどにやりがいと生きがいを見い出すことでしょう。
そして、それらに対して正当な評価も得ることになるでしょう。
それが、より一層充実感と生きがい、自己愛を高めてくれます。
当然、それなりのストレスを抱えることになるでしょうが
外の世界には、男性と同じく様々な受け皿が用意されてきています。
このようにして、男女の区別なく平等に働き、評価を得る。
そして、成功や名誉や地位が用意されます。
まだまだ完全な男女平等とは言えないかもしれませんが、
一昔前と比べれば雲泥の差と言えるでしょう。
何かを【産み出し、育てる】ということでは
母になって子どもを育てることと全く同じです。
かつて男性は「子ども」を産み出せない代わりに
社会の中で製品を産み出してきた。
そのようにも言えるでしょう。
それを女性がしても悪いことはないはずです。
「母」という役割を選択せず、
社会の中での「母」を選択したと言えるのではないでしょうか。
以上から
「母にならない」ことを選択した女性もまた
「賢明な女性」だと言うのです。
6)Φ おわりに
すべての人はその性別に関係なく「母」から産まれる。
そして、生後数年の間はその「母」の世話なくして、片時も生きられない。
だからこそ、「母」の影響は絶大なのです。
そして、その「母」になれるのは女性しかいないのです。
生後数年経てば、男性であっても母の代理はできるでしょう。
しかし、あくまでも「代理」にすぎないのです。
「母」はすべての人の心の基盤を作ります。
だからこそ先人は「母なる大地」とか「母校」「母港」「マザーボード」など
その基盤となるものに対して「母」という語を当てたのでしょう。
その重要性と必要性と何ものにも換えがたさを
女性だけが選択できるのです。
それをしっかり認識した上で「母になる」「母にならない」を選択する。
それと共に、「産む」「育てる」に関しての【叡智】が必須となります。
これらの【智】を持ち、実践する覚悟と決意を持った女性を
【賢明な女性】と呼びたいのです。
社会で活躍することを否定するものではありません。
それも賢明な選択肢の一つだと考えます。
すべての女性が「母」にならなければならないわけではないし、
女性だという理由だけで「家庭に居るべき」とも考えていません。
ただ「母になる」を選択したのなら
ある一定の期間家庭に居るのが基本だと言いたいのです。
何も考えず、ただ妊娠、出産したから「母」となった。
それは、これまで書いてきた観点からは歓迎できないということです。
あらゆる偉人や天才、はたまた犯罪者や暴徒を産み出したのも
「母」その人なのですから。
「母の想い一つで、いかように人の精神の基盤を作ることができる」
と、日々精神分析を通して痛感しています。
賢明な女性が賢明な男性を選択し、それぞれが父となり、母となったなら
どんなに素晴らしいことでしょう!!
誤解を怖れず言うと
世界を根底で支えるのも、書き換えるのも女性であり、
「母」その人なのです。
私たち「女性」はもっと「女である」ことの大切さと素晴らしさを知る必要がある!
もっともっと「叡智」を持つために共に学びませんか?
ゆえに
敢えて、声を大にして叫ぶのです。
【女たちよ賢明であれ!!】と。
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